少年少女スポーツ 2019年9月の話題
中学校総体
栄光の軌跡
中学校総合体育大会で今年も、東葛地域の中学生アスリートが躍動した。地区予選、県総体、関東大会を突破し、全国大会で活躍した選手たちの栄光の軌跡をたどる。
陸上ハッサン・ナワールさん (松戸五中3年)全国大会 女子100、200㍍で優勝
全日本中学校陸上(8月21~24日、大阪市)女子200㍍で、中学女子歴代2位の24秒21をマークして優勝。走り幅跳びの井村(旧姓池田)久美子さん以来24年ぶり2人目、この種目では史上初の3連覇を達成した。1年生から2年連続2位だった100㍍も11秒94で制し、二冠に輝いた。
2017年の同大会で全国デビュー。1年生ながら200㍍で優勝し、100㍍は2位と強烈な印象を残した。準決勝で記録した24秒59は中学1年歴代最高だった。同年10月には100㍍でも11秒98の中学1年歴代最高を樹立。昨年9月に100㍍で出した11秒88は中学2年歴代最高だ。
「走ることが好き」だから楽しく走り、記録も付いてきた。ところが3年生になった今季、体が急激に成長した影響もあるのか記録が伸び悩んだ。体調を考慮して県中学校総体は100㍍1本に絞り、関東中学校大会も欠場した。
調整段階で順調さを欠き、不安を抱えたまま臨んだ今大会。3連覇がかかった200㍍では「レースの1カ月前から緊張していた」と打ち明ける。初めて感じたプレッシャーに、心が揺れた。それでも「みんなの応援に支えられて」自己新をたたき出し、勝った。
陸上部顧問の佐藤圭亮先生は「大きなプレッシャーの中で勝ち切った精神力をほめたい。心の成長を感じた」とたたえる。100㍍は課題だったスタートが決まり、完勝だった。
次なる目標は中学記録の更新。200㍍は24秒12の中学記録まで100分の9秒差と迫った。10月11日からのジュニア五輪で「日本新記録誕生」のアナウンスが聞けるかもしれない。
ガーナ人の両親の長女として日本で生まれ育った。弟と妹がいる。今後、日本国籍を取得して五輪出場をめざす。「日の丸をつけて表彰台に立つのが夢」だ。
陸上チュクネレ・ジョエル優人くん (松戸・小金中3年)全国大会 男子走り高跳びで優勝
2㍍ジャンパーの仲間入りをしたのは7月下旬の県中学校総体。1㍍91の自己ベストを一気に11㌢更新する2㍍02の大会新記録で優勝した。続く関東中学校大会も2㍍02の大会新で制覇。8月の全日本中学校陸上は1㍍96で制した。
身長179㌢。この1年で11㌢伸びた。記録も伸び盛りだ。全国大会から約1週間後、9月1日の松戸市選手権では2㍍03の大会新で優勝し、自己ベストを1㌢更新した。このあとバーを2㍍07に上げたが、未知の高さに「1本目は怖かった」という。
陸上を始めたのは小学5年。部活で全種目に挑戦し、もっとも記録がよかったのが走り高跳びだった。そのころはバーの上で腹ばいになるように回転してクリアするベリーロールで跳んでいた。
中学生になって背面跳びに変えた。助走は9歩。左脚で踏み切る。「体は浮いているのに、かかとをバーにかけて落とすことが多かった。助走を修正し、カーブに入るところがうまく走れるようになった」ことが驚異的な記録向上につながった。
名前を呼ばれたら時間をかけずに試技に入る。「いい感覚のまま跳びたい」からだ。「1㍍91を跳んだころから試合で緊張することはなくなった」という度胸のよさも強みだ。五輪出場が目標。「頑張って記録を伸ばし、表彰台に立ちたい」と夢を描く。
陸上部顧問の久保貴之先生は「歩くと友だちができる。明るく、ムードメーカー的な存在」。技術的には「修正能力が高い。将来は世界で戦える選手になるはず」と期待する。
ナイジェリア人の父と日本人の母の長男として日本で生まれ育った。姉と妹がいる。愛称はジョエルから「ジョジョ」。家族からもクラスの友だちからも、そう呼ばれている。
バドミントン西武台千葉中(女子) 全国ベスト16 岡本萌奈未さん大健闘
県総体団体・個人共に2連覇を達成した西武台千葉中の女子バドミントン部。関東大会で準優勝し、8月の全国大会ではベスト16に入る快進撃を見せた。個人戦でも岡本萌奈未さんが全国ベスト16に入る大健闘。
ダブルス2、シングルス1で争われる団体戦。昨年、2年生ながら関東大会のシングルスで準優勝した岡本さんが今年も大活躍した。団体の部シングルスで県大会4試合、関東大会4試合、全国大会2試合で負けなしとポイントゲッターの仕事をきっちり果たした。
県大会シングルスで1セットも許すことなく圧巻の強さを見せた岡本さんは関東大会で、団体戦で勝利した埼玉栄中の中根明日香さんに決勝で敗れ、昨年に続き準優勝。連戦の疲れから足が思うように動かなかったと話す岡本さんは「自分のミスから集中力が切れて、立て直せなかった」と悔しさをにじませた。空調の利く体育館で行われた全国大会では、風に左右されるシャトルに対応しきれず関東同様悔しい結果にも「この経験を高校に入って生かしたい」と力強く話し、次の目標は「インターハイで優勝」としっかり前を向いた。
顧問の戸辺尚彰先生は「優秀な選手。どんな場面でも活躍できる子だからこそ、日の丸を背負う選手になってほしい」と期待を膨らませた。
相撲柏二中 県大会5連覇 全国大会ベスト8
県総体団体戦で、堂々の5連覇を達成。関東大会準優勝を経て全国大会ではベスト8の好成績を収めた。個人戦では宮﨑悠陽君(2年)が全国大会出場と健闘した。
部員は9人。3年生1人、2年生4人、1年生4人が日々練習に励んでいる。学年を超えて仲が良く、休日もボウリングなどをして過ごすという。
団体戦は1チーム3人。部員たちが「最大のピンチだった」と話すのは全国大会での予選。0勝1点でむかえた伏見中(京都府)との3回戦。1敗も許されない状況で、2年生たちが勝負強さを見せた。坂本正真君と宮﨑君が共に寄り倒しで勝利し、新谷雄太朗君が上手投げで続いた。同点決勝に進み、見事決勝トーナメントへと駒を進めた。「落とせない試合だったので、2年生がつなげてくれてほっとしました」と部長の厚見真翔君(3年)。
「汚いところからは何も生まれない」という永井明慶コーチ指導のもと、毎日、身の回りや練習場の掃除をし、気持ちを整理して練習に臨んでいるという。相撲をはじめたきっかけは「家族、先生にすすめられて」「大相撲を見て、かっこよかった」など様々だが、将来は「大相撲の力士になりたい」と夢はひとつだ。
「年上の相手でも勝てた時の達成感と嬉しさが相撲の魅力」と話す坂本君は「来年は全国大会で優勝したい」と意欲満々だ。
松戸ユーカリカップ小学生バレーボール
男子 松戸ミライズ準優勝
女子 小金原ジュニアも準V
松戸市と周辺の小学生チームによる「2019ユーカリカップ第6回松戸市近隣小学生バレーボール大会」(松戸市小学生バレーボール団体主催)が8月10日、同市運動公園体育館で開かれた。男女12チームが参加し、猛暑を吹き飛ばす熱戦を展開した。男子は松戸ミライズ、女子は小金原ジュニアの地元勢がともに準優勝に輝いた。
松戸市制70周年(2013年)を機に、市内小学生バレーボールを普及し、競技人口を増やそうとの狙いで始まった。今回は地元をはじめ、船橋、柏、木更津市や埼玉県三郷市、東京都葛飾区のチームが参戦した。
6人制で男子は4チームの総当たり戦、女子は8チームを2ブロックに分け、予選リーグ、決勝トーナメントで優勝を争った。
コートには高学年から低学年の体格がかなり違う選手も登場し、会場を沸かせた。「はーい、はーい」という元気な掛け声が飛び交い、得点のたびにコートを走り回ってハイタッチしていた。
男子の優勝決定戦は、2勝同士の松戸ミライズと大穴JSC(船橋市)の争い。3セットにもつれ込む激戦となったが、ミライズが3セット目12―15の僅差で惜しくも及ばなかった。
女子決勝は小金原と三郷エンジェルス(埼玉県三郷市)の戦いになり、小金原が健闘したが、セットカウント0―2で敗れた。
大会実行委員で松戸ミライズ代表の入江勝光さんは「市内外のいろんなチームと交流し、中学に行ってもバレーを続け、盛り上げてほしい」と話していた。